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フィギュア作家・寒河江弘さんに聞く!「ご当地怪獣」誕生秘話

2015年12月1日

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フィギュア作家・寒河江弘さんに聞く!「ご当地怪獣」誕生秘話
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▲近くで見てもリアルな「ご当地怪獣」のフィギュア(すべて寒河江弘さん作)

これらのフィギュアを制作したのは、造形家の寒河江弘(さがえひろし)さん。多数の映画で特撮美術・特殊造形を手掛け、テレビ東京系「TVチャンピオン」のフィギュア王選手権でも優勝した経歴の持ち主です。

「ご当地怪獣」とは、日本各地の名物・名産の形状や特色を反映した姿・形をした怪獣のこと。寒河江さんが担当したのは、デザインと造形。ストーリーは脚本家の村井さだゆきさんが考案しました。

そして、現在CAMPFIREでは『ご当地怪獣総選挙』を実施中です。こちらを支援すると、怪獣が所属する地域の緑化が促進され、オリジナルグッズが手に入ります。

ご当地怪獣オフィシャルサイトでは、ご当地怪獣が生まれるまでのストーリーをイラスト付きでご紹介しています。

今回は、企画・キャラクター原案を手掛けた寒河江さんに、ご当地怪獣の魅力と想いを聞きました。

ご当地怪獣は、「リアルだけど愛らしい」

2011年3月、東日本大震災発生。大地と心に残された爪痕はあまりにも大きく、日本中が自粛ムードに。そんな中、「怪獣で日本を元気にしたい」と立ち上がったのが、寒河江さんです。長く続くゆるキャラブームの中、あえてリアルな「ご当地怪獣」を考案。

いわゆる人気投票ではなく、『総選挙』を実施した理由は2つ。1つ目は、47都道府県すべてのご当地怪獣が揃ったことを知ってもらいたい。2つ目は、「こわい」と思われがちなご当地怪獣は、実は守り神で地域にも貢献することを伝えたい。

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▲寒河江弘さん。数々の特撮映画の美術を担当。芸能人フィギュアも手掛け、そのリアルさも話題に

ーご当地怪獣が生まれたきっかけは何ですか?

寒河江弘)私が昔から好きだった怪獣映画が、最近作られなくなっています。さらに「怪獣が街を壊す」ということが、震災後はエンターテイメントにならなくなってきているんです。そして、地震の余波で日本中に元気がなかった。

「この現状を何とかしたい」と思っていた時に、第一通信社の方から「一緒に面白いことをしませんか」と声を掛けてもらいました。そこで、「怪獣の企画をやりましょう」と提案したんです。

怪獣は元々、お城や東京タワーなど、各地のランドマークの近くに出現するんです。これを生かせば地域のアピールになる。さらに、怪獣映画自体も盛り上がるかもしれないと思いました。ゆるキャラ・B級グルメ・ご当地アイドルといったブームはありましたが、「大好きな怪獣で、地域や日本をもっと盛り上げたい」と考えたんです。

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▲ご当地怪獣のフィギュアの背面。細部にまでこだわって作られている

ー怪獣のフィギュアがかわいくて驚きました。

寒河江)女性には受けないと思っていましたが、「かわいい」と言ってもらえることが多いです。いや、かわいくはないんですけど(笑)。「最近の風潮に物申す」感があって申し訳ないんですが、近頃の怪獣はおもちゃを売るために「かっこいいデザインにする」という雰囲気があります。

怪獣や怪人がちょっとイケメンになってしまっているんですよ。私にとって怪獣は、例えるなら「皮付き野菜がごろごろ入ったカレー」。つまり、一目で素材やモチーフをわかってもらえるものにしたい。

ーご当地怪獣を1体作るのには、どのくらい時間がかかりますか?

寒河江)最初の頃は、2、3日徹夜して一気に作っていました。沖縄の「カンムロン」は、羽毛の感じを出すために特に時間を掛けましたよ。タイアップ怪獣は、「主役級のスケールで作りたい」という思いがあります。映画が作れるくらいに男前にしたり、存在感を出したりします。

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▲特にこだわって作ったという、沖縄「カンムロン」の羽。近くで見てもリアルです

ーご当地の食べ物だけでなく、おばさんやゴルフバッグなど、モチーフは様々ですね。

寒河江)インタビューで「ご当地怪獣とゆるキャラの違いは何ですか?」とよく聞かれます。あらゆるもの、つまり「ゆるキャラさえもモチーフにできる、それがご当地怪獣」なんです。地域がアピールしたいものなら何でも怪獣にできます。

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ーご当地怪獣は、少し怖いけれどどこか憎めないと思います。

寒河江)最初のデザインは、どちらかと言うとゆるキャラに近かったです。そこから「差別化のために、リアルにしましょう」という話になりました。でも、「ホラー映画のモンスター」にはせず、昭和感のある「リアルだけれど愛らしい」という感じを残したんです。

村井さだゆきさんは、特撮映画やアニメーションでシリアスな話も書かれる方なので、ご当地怪獣にもそういったストーリーを作っていただきました。

リアルさを重視。「美味しそう」な怪獣を作りました

ー食べ物をモチーフにした怪獣は、リアルで美味しそうですね。

寒河江)食材の部分はグロテスクにならないように気を付けました。名産品なので、美味しそうに見えないと意味がない。今回の選挙には参加していませんが、サツマイモをモチーフにした鹿児島の「イモラス」の尻尾は特に食品サンプル感が出せたと思います。

静岡の「ツーン」のワサビのみずみずしさもこだわりました。

(鹿児島は、イモラスの代わりに「スギノドン」が選挙に参加しています)

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ーフィギュアの材料は何ですか?

寒河江)怪獣ごとに変えていますが、基本は粘土です。鯖をモチーフにした高知の「サバサバラー」の手は、市長から「うちの鯖はもっと太っている」と指摘され作り直しました。リアルさは重要視していますね。納豆がモチーフの茨城「バチルキング」は、やりきった感じがします(笑)。

あと、怪獣マニアの方は、ご当地怪獣を見ると元ネタが分かるそうです。「この部分は◯◯の作品に出てきた◯◯怪獣だ」と。他社様に失礼のない程度に、そういう楽しみ方もできるかもしれません。

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ーご当地怪獣を制作する上で、こだわったことは何ですか?

寒河江 「子どもに伝わるかどうか」を重視しました。あとは、「発想は子どもで、クオリティは大人」というところも意識していますね。

私が子どもの頃は、チラシの裏に「ボクの考えた怪獣」の落書きをしていました。児童誌にも、「子どもが考えた怪獣・怪人」みたいなコーナーがあったんですよ。きっと、今40歳以上の人はみんな体験してきたことだと思うんです。だから、「子どもの欲求をかき立てるものを作っていきたい」と常に思っています。

ー鹿児島の「イモラス」の背中には1本線が入っていますね。これは何ですか?

寒河江 造形のこだわりの1つですね。「これは着ぐるみで、本当に中に人が入れる」ことを意識しながら作っているからです。「イモラス」の線は、着ぐるみに人が入る時のチャック、大阪の「ヒョウガラヤン」は首にのぞき穴の点々があります。

すべてをリアルで再現できるかはわかりませんが、「人の足が入るとシルエットはこうなる」を考えながら作っているので、一見足が短く見える怪獣もかっこ悪いわけではないことを知ってもらいたいです。

【「大阪のおばちゃん」が怪獣に!?ヒョウガラヤンの応援はこちらから】

地元人だけが知っている「ご当地」の魅力を、怪獣で伝えたい

ーご当地怪獣を見ていると、各地域の知らなかった名産品や個性を知ることができます。

寒河江 その地方の人だけが知っているローカルなものをアピールするのもご当地怪獣の意義の一つだと思います。例えば「千歳」と聞いても、私には卵のイメージがありませんでした。

でも、実は千歳は北海道の中で卵の生産量が1位なんです。そうして生まれたのが、卵をモチーフにした「タマゴノドン」。ご当地怪獣を通して地元の魅力を伝えていけると嬉しいです。

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▲愛知「シャチホコング」と大阪「ヒョウガラヤン」を手にした寒河江さん

怪獣でご当地を元気にするという新しい試み、『ご当地怪獣総選挙』の投票……つまり、支援募集は、2015年12月17日(木)23時59分まで。
自分の出身地を選ぶも、かわいさで選ぶも、あなたの自由です。支援が、そのまま地域の緑化に繋がります。
あなたの推しメンは、どの怪獣ですか?

(Last Update:2016年9月13日)