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タンパク質の源流を巡る?!ダンス映像作家・吉開菜央監督と音楽アーティスト・柴田聡子氏による短編映画『ほったまるびより』

2015年4月8日

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タンパク質の源流を巡る?!ダンス映像作家・吉開菜央監督と音楽アーティスト・柴田聡子氏による短編映画『ほったまるびより』

DVD&フォトブック制作の費用を集めるプロジェクトで573,454円を達成した、映像作家でありながらダンサー振付師でもある吉開菜央監督と音楽アーティストとの柴田聡子氏による中編映画『ほったまるびより』。本作はMOOSIC LAB2014の作品である。

MOOSIC LAB(ムージックラボ)とは、次世代の若手映画監督と音楽アーティストがコラボし、作品を創って、コンペティション形式で競い合う音楽(MUSIC)と映画(MOVIE)の実験室だ。

『ほったまるびより』が参加したMOOSIC LAB2014には森川葵主演(「劇場版 零〜ゼロ〜」出演)の「おんなのこきらい」(加藤綾佳監督 × ふぇのたす)や、佐藤玲主演(「リュウグウノツカイ」出演)の「おばけ」(坂本悠花里 × 挫・人間)などの作品もエントリーされた。

今回紹介するリターンは5,000円のもの。

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『ほったまるびより』の主人公・さと子の家には四人の踊り子が隠れ住んでいる。

彼女らはお互いのからだのにおいを嗅いだり触れあって体温を感じ、愛し合って暮らしている。その様子は極めて単純であり無邪気であり有機的だ。

監督はその戯れを「お互いをタンパク質として愛しあうラブシーン」であると言う。ただし、ラブシーンとは言ってもすぐに想像できるようなものを期待しない方がいい。

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▲DVDケースは紙で出来ている

本作は38分間のいわゆる中編に分類される映画だが台詞は一度もない。

だが、言葉を越えた表現がからだから生まれてくる。それは音であり、においであり、肌から感じる感覚である。

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▲劇中の言葉らしい言葉は柴田氏の歌声のみである

我々は感じたことを言葉に置き換えがちだが、この映画では言語という手段で安直に表現することを避けている。

彼女らが人の吐息や箪笥の引き出しの中にこもったにおいを嗅ぐとき、考える前に各感覚器官が反射的に反応を起こす。

だから『ほったまるびより』は普段避けがちな感覚領域へガツガツ踏み込んでくる。鑑賞していて不思議な感覚になるのだ。

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▲リターンのひとつである写真家・黑田菜月によるフォトブック

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▲さと子の家に住む踊り子

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▲単なる広報用のスチールではなく、作品として作られた

この映画はとても”人間くさい”のかもしれない。人間が生きていく上で、からだの中から何かが生まれては古いものは外に押し出されていく。

においや体温のように不可視で分散していくものもあれば、髪の毛や爪、目やに、涎のようにわかりやすく残るものもある。

いずれにせよ押し出されたものはこの世界に知らずと蓄積されていくのだ。

彼女らは古民家で人の中から押し出される何かを感じて愛し合って暮らしている。

ある日、彼女らは風呂で浴槽に住む女の子と出会う。その女の子は美少女であり、まるで禊されたさと子のメタファーにも感じて取れる。

それから彼女らは家中に転がるさと子の「ほったまる」を集めるようになる。まるでさと子のからだに元に戻すかのように。

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▲ほったまる:「ほうっておくとたまるもの」の略。髪の毛や爪、足の裏の皮など、体から出る落としもの。あるいは日々の生活で蓄積されるにおい

「ほったまる」とは、元々からだの一部だったもの。しかし、押し出された瞬間から汚物と認識されるようになる。

普段気にも留めないが不思議な人間の仕組だ。

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▲多くのスタッフにより『ほったまるびより』は制作された

『ほったまるびより』では、ダンスを交えてそんな不思議な現象を魅せてくれる。タンパク質の源流をめぐる身体現象ファンタジーなのである。

DVD&フォトブックの販売・入手についてはこちら

また、今後のスクリーン上映に関しては、国内最大規模の映像アートの祭典「イメージフォーラム・フェスティバル2015」(ジャパン・トゥモロウ部門に入選)のゴールデンウィークの東京上映など全国5都市(東京・神奈川・愛知・京都・福岡)で予定されている。

【映画『ほったまるびより』作品情報】

監督:吉開菜央
アーティスト:柴田聡子
出演:柴田聡子 / 織田梨沙 / 小暮香帆 / 菅彩夏 / 後藤ゆう / 矢吹唯
作品尺:38分

公式サイト:http://hottamarubiyori.com/

(Last Update:2016年9月23日)