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音楽×クラウドファンディングの開拓者 森大地スペシャルインタビュー

June 22, 2015

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音楽×クラウドファンディングの開拓者 森大地スペシャルインタビュー

たとえば、私たちが昼間に見ている風景の記憶が、寝ている間に美しい夢に昇華されるとして、そのなかの最も輝く破片を集めたようだ、というのが筆者のバンドAureole(オーリオール)の今までの作品への印象だった。

しかし今回の作品はそんな情景的なサウンドから一転、身体的な痺れにも似た感覚を引き起こすような、疾走感に溢れたロックサウンドだ。 次から次へと光の反射のごとく変化をみせるバンド、Aureoleの森)さんに話を聞いた。

ー今回はがらりと印象が変わったアルバムですね。少しダンスミュージックのような雰囲気も感じました。

森)大地)2年半ぶりくらいの作品なんですけど、今回は「外とつながっていこう」と意識しました。

今までの僕たちの音楽って、心の中を投射したような、内向きな音楽だったりするんですが、音楽としての面白さはそのままに、もっと外とつながっていくようなことを意識して制作しました。

僕は音楽オタクみたいなところがあって、リスナーとしても色々な種類の音楽が好きだから、やりたい音楽もたくさんあるんです。

今作はそんな色々な音楽ジャンルのタブーと呼ばれるような手法をあえてたくさん取り入れて、それをごちゃ混ぜにしてロックというフォーマットに落とし込んだような作品にしました。自分の中では一周まわった新しい音楽になったかなと。

ー手法なども変えていらっしゃるんですか?

森) はい、今回はパソコンを一曲も使っていなくて、打ち込みなどを使っていないんです。
実は2年くらいずっと曲を作れていなくて、作ってはボツを繰り返してきました。アルバムを出した後の次の曲は今後の方向性を決める大事な一曲だと思っていることもあって。

結局2年経って、試行錯誤してしっくりきたのがこのアルバムに収録されている「ghostly me」なんです。

さきほどダンスミュージックと仰っていましたが、トラックメイク的な作り方をして、それをバンドの生楽器に置き換えてみたところ、思ったよりもロック色が強い曲に仕上がって「これはいいかも」と思いました。

2年間かけてこの1曲にたどり着いたのですが、これで方向性が決まってからは1ヶ月半で他の曲が全てできたんですよ。サウンド的なコンセプトも変化しています。

今まではどちらかと言えば家でリスニングする「bedroom music」寄りだったのですが、今回は「外で聞いて踊れるbedroom music」といった感じです。ちょっと、矛盾があるかもしれないけど(笑)。

ージャケットの雰囲気もずいぶん変わりましたね。

森) 実は描いている人はずっと同じ人なんですよ。ファーストアルバムからずっとジャケットの絵を手がけてくれているオランダ人のJeroen Advocaatというアーティストです。 彼に「今までは心の音楽だけど、今回は感覚の音楽」とオーダーしました。

今回のアルバムは脊髄反射を意味するタイトルで、画的には血液や神経の管が人から人へとコネクトしていくようなイメージなんです。

今までの美しい抽象的な心象風景のようなものから一転して、人間そのものや現実世界での感覚を表現した音楽なので、モチーフにも「具体的な何か」を入れてほしいとお願いしました。

ーなるほど。それで街並みや人の姿も細かく描かれているんですね。

森) そうなんです。今までは風景がメインでしたが今回は人間がメインですね。

Aureole_4

▲今回のニューアルバム『Spinal Reflex』

ー心、の反対に森さんがイメージするのが肉、ではなく血液や神経というところが面白いですね。

森) そうかもしれないですね。あくまで人間の内部と外の世界との繋がりが重要なテーマだったからだと思います。

今までとサウンドの方向もがらりと変えたAureole。 彼らは7月2日に代官山UNITでのワンマンライブを控えている。実はこのライブ、本人たちにとっては現在の世間からの人気で考えると少し背伸びしたステップアップなのだという。

ーワンマンライブはこのアルバムの音のイメージで行うのですか?

森) そうですね。今年3月にタワーレコード渋谷店限定でリリースした「Awake」も合わせたような音になるかもしれません。というのも実はこの2枚は同じ時期にレコーディングをしているので音の質感が近かったりするんです。

前作の頃以来、Aureoleのライブには来ていないという方には大きな変化を感じられるものになるかもしれませんね。

ーユニットにした理由などもあるのでしょうか?

森) 計画性をもってステップアップしていきたいな、と普段から考えているんですよ。

ーそれは…ミュージシャンらしからぬ発想かもしれないですね!

森) そうかもしれません(笑)。インディーズバンドのほとんどは3ヶ月先くらいまでの予定をみながら動いているかなと思うんですが、実績を残しているミュージシャンをよく見てみると、きちんと道筋がたっていて。

僕らのバンドも去年の11月くらいにバンドでミーティングをして、「ここ(7月)にユニットのワンマンを置こう」と決めました。 僕は音楽業界ではある程度の背伸びが必要だと思っています。

背伸びしたことをやり続けて、周りにだんだん当たり前のようにそう認識されていく。もちろん音楽自体は背伸びどころか逆に過小評価されているとすら思っているんですけどね(笑)。

マトモな音楽家ならほとんどの人が自分のことをそう考えていると思います。あくまで人気に対しての背伸びです。背伸びというより挑戦という言葉の方が綺麗かもしれません。

挑戦して徐々にステップアップしていくことが新しい音楽の波を世の中に作っていくためには必要ですし、そこで代官山ユニットでのレコ発を打つことは今の自分たちにはピッタリだと思いました。

そこから逆算していって、それならその前にアルバムリリース、その前にタワレコ渋谷店限定発売のアルバムを作って…と計画をしていったんです。

ータワレコ渋谷店限定というのは珍しいですね。

森) 実はタワーレコードの担当の方がヒソミネの元出演者だったという不思議な縁で、渋谷店限定リリースをやりませんか?というお話をいただいて、一緒にプロモーションなどを考えながらやっていきました。

こんなふうなツイッターキャンペーンなどもやって話題にしていただきました。

毎月のように変化を見せる彼らの活動の裏には、自身もレコードレーベルを運営しているからこその着実な計画性が見え隠れする。

森) タワーレコード渋谷店限定のアルバムをリリースしたのが3月で、このあとに4月にインストアライブをやりました。そのあと5月からはツアー、そして6月の今回のアルバム、というふうに毎月話題を途切れさせないようにやってきています。

ーこういったツイッターハッシュタグを使ったプロモーションなどに踏み切ったり展開していく様子をみると、「きいて!」と働きかけることを全く恐れない姿勢が垣間見えますね。

森) 音楽をリリースしている限り、その音楽をひとりでも多くの人に聞いてもらおうという努力も絶対に必要で、そうでない人はリリースしなければいい、とさえ思うんです。

いい作品が作れればそれでいいというだけなら、リリースはせずにいい作品を作ってバンドキャンプなどにあげておけばいいと思います。 でも本当はみんなどこかでひとりでも多くの人に自分たちの音楽で喜んでもらったり感動してもらったりしてほしいと思っているはず。

それなのに結果を残せなかった時、「世の中が本当の音楽を分かってない」「売れなかったのはレコード会社の怠慢」「お金にものを言わせているメジャー系ばかりが売れて、本当に良い音楽が売れないのは業界のシステムの問題」なんて言っているのは負け犬の遠吠えのようでダサイなと思ってしまって。

インディーズでも、できることはたくさんあるはずで、僕はインディーズとしてひとりでも多くの人に聞いてもらえる方法を真剣に考えているつもりです。

音楽には絶対的な自信を持ってお届けできると思っているからこそ、こういったプロモーション活動も恥ずかしがらずできるようになった気がします。

それでも、流行りのJPOPの音楽を聴くとその良さなどが自分の感覚と全く反対だったりして、周りにも「Aureoleの曲ってサビどこ?」とか「ギターのリフとかないの?」なんて言われたりもしましたが、そんな人にも「ちょっとした環境の変化でいつか気に入ってもらえるのでは」というポジティブな気持ちで活動をしています。

Aureole_9

「ひとりでも多くの人に聞いてもらいたい」。当たり前のようで、なかなか大声で言うのは難しい、こんな言葉をまっすぐぶつけられる彼の姿勢に、クラウドファンディングでの大成功の秘訣がありそうだ。

彼にとってクラウドファンディングはどんなものなのだろうか。

森) ミュージシャンのなかにも「インディーズ魂」だとか「インディペンデント魂」なんて言っている人もいますが、メジャーに属せなかった人がそう言うのではなくて、真剣に音楽を考えて活動している人だけがそう自称しても許されるべきですよね。

僕はメジャーは嫌いではないですが、CAMPFIREはそんな本当の意味でのインディペンデント魂を応援する恰好のツールだと思います。だから人にもたまに薦めます。

例えばCAMPFIREに掲載されていたヨハンというバンドは、実はかなり前に話す機会がありまして、「ヨハンは自分たちで色々な方法をさがしてみてもいいんじゃないか、それこそCAMPFIREなんて方法もある」という話をしたのがきっかけでCAMPFIREにチャレンジしたんです。

僕も実はパトロンになっていますよ。

こんなふうなレコードを出すきっかけなどに使うことができますね。

ー森さんが使ってくださった時って音楽ジャンルでCAMPFIREをやる人はまだ少なかったので、開拓者というイメージがあります。

森) 開拓者なんてそんなそんな(笑)。でも、それが功を奏してとても良い宣伝にもなりました。「ヒソミネってあのCAMPFIREでつくったんでしょ?」と知ってくださった方もいて。

ーミュージシャンの方にこんな使い方をしてみたら?というアドバイスはありますか?

森) 明確な意志を感じさせるプロジェクトであればなんでもいいと思います。無名のバンドだって全然良いですよね。

ただ若いバンドに「CAMPFIREを使ってみようかと思ってて」という相談もたまに受けますが、実際使うにはちょっと敷居が高いイメージみたいですね。 「いつかはきっと」なんて思っていたり「今でいいのか」と悩む人が多いように感じます。

ー森さんからは、この時が使いどき、というタイミングはありますか?

森) 今……でしょ…と(笑)。今やっている音楽に間違いないと確信できるのならですけどね。

お金を集めることを目的とせずに、サクセスした先の目標を据えて、その中間地点としてクラウドファンディングを置いてみるといいのではないかと思います。

Aureole_10

自身もクラウドファンディングを経験したり、ライブハウス「ヒソミネ」を立ち上げたりと精力的に活動をするなかで、その活動の仕方や音楽への気持ちが変化してきたという森さん。

さいごに今の音楽への気持ちをこんな風に語ってくれた。

森) ファンの方と話したりしていると、クラウドファンディングを経験したこともあり、ちょっと変かもしれませんが「無償の愛」のようなものを感じることがここ数年で増えました。消費自体が目的ではなく、お金をだすこと、好きになることの大切な意味を感じています。

インディーズミュージシャンに2種類のタイプがいるとしたら、 ひとつは「いいねと言ってくれる人が少しでもいれば満足」というタイプ、 もうひとつは「少しでも多くの人に聞いてもらいたい」と思うタイプなのではないでしょうか。

僕ももしかしたら最初の最初は前者だったかもしれませんが、色々な活動をしていくなかで「自分がいたからこんなことが起こった」と、存在意義を感じられることをやりたいと思ったんです。

これは、Aureoleにもキルクレコーズにも言えることですが、誰かがやっていることの焼き直しではそれまでにあったものの数をただひとつ増やすことにしかならないんです。日本の閉鎖的な音楽業界なんて特にそんな団体やバンドばかりです。

そうではなく自分にしかできないことはなにか。それを決して忘れずに音楽活動を続けていきたいと思っています。

彼ら自身が唯一無二の存在になるために、ひとりでも多くの人にとその音楽を両手に抱え確かな道筋を見据えて歩んでいくAureole。

クラウドファンディング、ライブハウスの立ち上げ、アルバムのリリースを経て迎える来月のワンマンライブは、もうすでに彼の頭のなかでは未来へ向かう中間地点になっているのかもしれない。

新作のアルバムを聴いてライブにぜひ足を運んでいただきたい。

【”Spinal Reflex” Release Party】

開催日:2015年7月2日(木)
時間:OPEN 18:30 / START 19:30
会場:代官山UNIT
住所:東京都渋谷区恵比寿西1−34−17 ZaHOUSE
前売¥2,800 / 当日¥3,300(税込 / +1Drink)
問い合わせ:UNIT 03-5459-8630

チケット予約:
2015年3月9日(月) 20:00〜
Aureole オフィシャルサイト
2015年3月16日(月)〜
ローソン / e+
2015年3月23日(月)〜
ぴあ
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