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「ニートになりたい」女子大生社長、ハヤカワ五味の素顔とは

July 21, 2015

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「ニートになりたい」女子大生社長、ハヤカワ五味の素顔とは

ハヤカワ五味。
本名、稲勝栞(いなかつしおり)19歳。女子大生、デザイナー、株式会社ウツワCEO。

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▲ハヤカワ五味さん

女性の小さな胸を「シンデレラバスト」、シンデレラバスト専用下着を「品乳ブラ」と名付け、胸の小さな女性向けランジェリーブランド『feast by GOMI HAYAKAWA』(以下、feast)を設立。「なんで、胸がある子にはランジェリーを選ぶ楽しみがあって、貧乳にはないの?」という考えが、悩める女性からの圧倒的な支持を集める。結果、シリーズ1作目の450セット全てを1日で完売させるという偉業を達成。

そんな彼女がデザインするのは、下着だけでない。ストッキングからワンピース、Tシャツなど多岐に渡る。

自身が持つもう一つのブランド「GOMI HAYAKAWA」の新作を、洋服の枠にとらわれずパフォーマンスと共に紹介する「GOMI HAYAKAWA新作お披露目イベント『RPG』」を2014年11月に開催。

こちらの資金を募る『女子大生デザイナーハヤカワ五味による異次元ファッションショー@渋谷』プロジェクトは、なんと、たった3日でサクセス。そして、目標金額の5倍以上の141万4150円が集まった。

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一躍時の人となったハヤカワ五味。しかし、「私はテキトー人間です」「feastは売却しても構わない」「ニートになりたい」……と飾らない言葉で語ります。今大注目の19歳。その素顔に迫ってきました。

クラウドファンディングはダサくない

ー『RPG』のクラウドファンディングで印象的だったことはありますか?

ハヤカワ:3日でサクセスしたスピード感と、目標金額の5倍という支援額の伸びに驚きましたね。

そして、「自分で想像している以上にたくさんのファンに支えられている」「期待をかけられている」と感じました。こんなにも多くの方に注目されているからには、もっと頑張ろうと思いました。

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ークラウドファンディングを実行してよかったことを教えてください。
ハヤカワ:自分で何かを作る時は、費用を1円でも安くしようとします。しかし、節制し過ぎるとアイディアや可能性にも制限ができてしまう。

でも、クラウドファンディングは違います。ここで集まった資金全てをイベントに使うことができるんです。『RPG』の成功の理由の一つはここにあるかもしれません。

ーGOMI HAYAKAWA新作お披露目イベント『RPG』は大盛況でしたね。
ハヤカワ:実は、イベントは5万円の赤字でした。しかし、141万円という大きなお金の運用方法を5万円で学ぶことができたととらえると、むしろラッキーだと思うんです。

もちろん、支援していただいたお金なので無駄遣いはできません。でも、いつもとは違い広い視野でイベントを作ることができました。

ーCAMPFIREでは、ハヤカワさんがサクセスした後にファッションに関するプロジェクトが増えました。

ハヤカワ:それは嬉しいです。ファッション業界はダサいことに敏感です。そして、「お金を支援してもらうのはダサい」という発想はまだ根強い。このプロジェクトがその考えを払拭するきっかけになってほしいと思います。

また、ファッション系の学生は材料費などのお金がかかるので、クラウドファンディングを活用するといいと思います。便利なサービスは利用しないともったいない。

feastが大手に買収されても構わない

ー「feast by GOMI HAYAKAWA」を作ったきっかけは何ですか?

ハヤカワ:「なぜ私は、貧乳でこんなに悩んでいるのだろう。どうすれば悩まなくなるのかな」と考えたからです。

今後は、品乳ブラに限らず、女性の悩みを解決するものがもっと生まれて欲しい。例えば、胸が大きい人向けのブラや胸が大きな小学生用のブラはデザインがよくないんです。feastが「今はまだ無いけれど、あったら嬉しいもの」を生み出すきっかけになったら嬉しいですね。

ーfeastの大きいサイズを作る予定はありますか?
ハヤカワ:ありません。私には胸が大きい人の悩みは分からないので、私が作る意味がないからです。ビジネス的には作った方がいいのかもしれませんが、自分の利益のためにブランドを立ち上げた時の「悩みを解決したい」という思いを忘れないようにしたいです。

ーfeastの目標を教えてください。
ハヤカワ:胸の小さな女性用ブラが世の中に浸透することです。そのためなら、feastというブランド自体は大手に買収されても構いません。
いつか「実は、品乳ブラはハヤカワさんが最初に作ったんだよ」となれば、それでいいです。少しでも人の人生にいい影響を与え爪痕を残せるのならば、ブランドも会社もその手段でしかありません。

「ウツワ」という会社自体に価値はない

ーハヤカワさんが会社を作った理由を教えてください。

ハヤカワ:feastがヒットした時、私が考えた『シンデレラバスト』や『品乳ブラ』の商標が、私よりも先に他社に取られてしまいました。これには驚きましたし、「大人はお金のためなら容赦なく権利を奪っていく」ことを知りました。そして、それに応戦しないと自分の夢が達成出来ないんですよね。株式会社ウツワを作ったのは、自分のブランドや夢を守るためです。

ー会社名を「GOMI HAYAKAWA」ではなく「ウツワ」にした理由は何ですか?
ハヤカワ:会社をあくまで「ウツワ」、つまり容れ物だと思っているからです。その中にブランドやクリエイターを入れておいて、いつでも取り出せるようにしたい。

そして、会社自体には価値が無いとも思っています。ブランドを守るための「皮」として会社を経営したいです。

ー株式会社ウツワを支えるメンバーを教えてください。
ハヤカワ:現在はマネージャーが3人ほど、イベントに携わるのは10人ほどです。メンバーは、元々友人だった人やTwitterでの募集に応じてくれた人、昔からのファンなど様々です。

Twitterでとても可愛い下着の写真を見つけた時は、「この作者は口説かなきゃ」と思いました。その時は、下着を展示している文化祭に足を運んで直接スカウトしたんですよ。こんなふうに、知り合いの紹介・対面での出会い・SNS、その全てが今に生きています。

ー経営者として、スタッフに対して思うことは何ですか?
ハヤカワ:株式会社ウツワは2015年に起こしたばかりの会社です。

まだ社員を雇用できる状態ではなく、毎月一定のお給料を支払えるわけでもありません。でも、やる気のある人の気持ちには応えていきたいです。

「ハヤカワ五味は架空の人物です」

ー女子大生で経営者でデザイナー。その生活は多忙ではありませんか?
ハヤカワ:私は一度学校へ行くようになると、課題も出席も完璧にこなしてしまう性格です。そのため今は「計画的に」学校を休んでいます(笑)。学校と仕事の割合は半分ずつくらいですね。ゲームが大好きなので、遊ぶ時間も確保していますよ。

あと、毎日6〜8時間は寝るようにしています。睡眠不足になると、コストパフォーマンスが下がる、イライラする……いいことが無いんです。私が安定しないと会社も安定しません。

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ー様々な顔を持つハヤカワさんが一番自然な時はいつですか?
ハヤカワ:いつも自然で、いつでも私です。でも、あえて言うなら「稲勝栞として大学でご飯を食べている時」が一番自然体かもしれません。ハヤカワ)五味と稲勝栞は別人であり、ハヤカワ)五味は架空の人物です。

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▲ハヤカワさんの着ているワンピースも「GOMI HAYAKAWA」のもの

ー仕事とプライベートのオン・オフのスイッチが切り替わるタイミングはいつですか?
ハヤカワ:控え室では爆睡しますが、収録が始まると「ハヤカワ)五味」モードに切り替わります。カメラの前だと仕事スイッチがオンになるんですよね。実は私、中学・高校時代はネクラだったんですよ。人前で話すことや年上の方とお会いする機会が多くなり少しずつ変わりました。

逃げ道があるから、自由な発想ができる

ーfeastのヒットでメディア出演が増えましたが、ハヤカワ)さんがいつも自然体でいられる理由は何ですか?

ハヤカワ:高校1年生の時にも「キリトリ線ストッキング」や「木目調ストッキング」が話題となり、テレビに出演したことがあります。そして、そこでメディアにつぶされかけたんです。怖い世界だと知りました。

feastはそれに続く2度目のヒットだったので、1度目の経験を生かすことができました。そうでなければ、間違いなく調子に乗っていたと思います。

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▲高校1年生の時のヒット作、木目調ストッキング

ーfeastのヒットで身近な方の反応に変化ありましたか?
ハヤカワ:ありません。今でも友人には「たまたま売れているだけで、稲勝は暇人で仕事もしていない」と言われるんですよ(笑)。そして、お金の管理を知らないと金銭感覚もおかしくなると思います。

私は会社の経理を自分で行っています。「会社のお金は会社のもの」と捉え、毎月固定給以外は手を出しません。

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▲2014年6月には原宿で「GOMI HAYAKAWA」の展示会を開催

ーハヤカワさんが常に新しいことに挑戦し続けられる理由は何ですか?
ハヤカワ:「どうにもならなかったら結婚する」というリスクヘッジで、「失敗してもいい」と思っているからです。ブランドやイベントに対して本気になれる理由、大きな金額を動かせる理由、そのどちらもここにあります。

……と、大きなことを言いましたが、実は深くは考えていないんです。日頃から「ニートになりたい」と思っていますし、テキトー人間なんです。こんな風に、逃げ道があると思えるから自由な発想ができるのかもしれません。

ハヤカワ五味のこれから

ー夏に向けて、feastの新作を教えてください。

ハヤカワ:feastのカタログとランジェリーのセット『feast CollectionBook 2015 Summer』がAmazon.comで販売中です。また、2015年夏の新作はスイムウェアです。

海へ行った時に水着がぶかぶかだった経験を元に作ったので、シンデレラバストでも胸チラしません。こちらも予約受付中です。(スイムウェアの詳細はこちらから)

ーハヤカワさんの今後の夢や目標を聞かせてください。
ハヤカワ:洋服の枠を飛び出して、「人生のデザイナー」になりたいです。「人のデザイナー」とでも言うのでしょうか。コミュニケーションをデザインしていきたいと考えています。

プロダクトを通して人に影響を与えられるデザイナーになりたいです。そして、出会った人を幸せにしたい。

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「ニートになりたい」「結構テキトーです」という伸び伸びとした一面と、「少しでも人にいい影響を与えたい。爪痕を残したい。

そのためなら、ブランドも会社も手段でしかない」というストイックな一面をあわせ持ったハヤカワ五味さん。その素顔は、自分を律する厳しさと広い視野を持つ、ゲームが大好きな19歳の女の子でした。

自身のコンプレックスを解決するものを自分の手で生み出し、将来は人の人生をデザインしたいと語るハヤカワ五味こと稲勝栞のこれからに、目が離せません。